録画機能を備えた「一体型テレビ」が復活している。
1990年代にヒットしたVHSビデオを備えた「テレビデオ」の再来だ。テレビは薄型に、録画機能はブルーレイディスク(BD)やハードディスク(HD)に技術が進化したこともあるが、価格下落が進むテレビの単価アップを狙うメーカー側の戦略もある。
東芝は9月16日、HDを内蔵した液晶テレビ「レグザ」の新製品を発表。新機種のほとんどが録画機能付きで、かつてのテレビデオからの買い替え需要も「国内だけで1000万台」とそろばんをはじく。シャープもBDレコーダーを内蔵した液晶テレビ「アクオス」の新製品を出した。三菱電機はHDとBDの両方を備えた液晶テレビを10月末に発売する。日立製作所やパナソニックもHD一体型テレビを投入している。
テレビデオは1990年代、「テレビとビデオをつなぐコードが不要」「別々に買うより安い」などの理由でヒットしたが、復活の理由も同様だ。シャープの最新式の40型液晶テレビの店頭価格は25万円前後で、BDレコーダーは320ギガ・バイトのHD付きで10万円前後。これに対しBD内蔵アクオスは28万円前後で、別々に買うより割安だ。
メーカーが録画機能付きの品ぞろえを強化する背景にはテレビの急速な価格下落がある。8月の平均単価は1年前より15%も安くなっており、付加価値を高めて販売単価のアップにつなげたい考えだ。