「アニメバブル崩壊」。(日経ビジネスオンライン)http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091028/208233/

「アニメバブル崩壊」。2009年5月4日の朝日新聞は、扇動的な見出しとともに我が国のアニメ産業は右肩下がりの時代に入ったと報じた。アニメ業界の市場規模は1985年の261億円から2006年の2588億円へ急成長した。それが2007年には2396億円となり縮小に転じた。記事はこれを受けたものだった。

5月4日の記事なのに全然知らなかった<恥。(やっぱりネットでの情報集下手の情報音痴だな・・・)
2006年から2007年にかけて市場が縮小したのは、単にTVアニメ作品本数については、2006年度がピークで2007年から減り始めたけど、それとの関連性はあるんでしょうかね?

1 :あやめφ ★:2009/11/11(水) 01:27:30 ID:???
麻生太郎前総理が提唱し、賛否両論を呼んだ「アニメの殿堂」の建設はどうやら見送りと
なるようだ。だが日本の文化としての「アニメ」に注目し、産業としても育てていこうという
方向性そのものに反対する人は少ないのではないか。

社会が成熟する中で、これから重要な役割を担うのがアニメ、ゲーム、日本映画、クラシック
音楽などの分野だ。これをビジネスととらえるならば、「文化産業(クリエーティブ産業)」と
名づけることができる。製造業が弱体化する中で、こうした産業は日本の次の成長の糧の
1つとして期待される。

文化産業自体は昔から存在する。だがきちんと利益をあげる事業形態、つまりビジネスモデルの
構築に成功したものは少ない。映像、アニメなど芸術文化のビジネスモデルは、まだ完成度が
低い。こうしたビジネスでいかにモデルを構築していくのか。まず、アニメから考察していく。


8月31日、東京・お台場に立つ全長18メートルの実物大「ガンダム」の展示が静かに幕を
下ろした。人気アニメ「機動戦士ガンダム」の放映30周年を記念して開かれたこのイベントは、
子供連れからサラリーマンまで幅広い来場者を集めた。7月11日からこの日までの約2カ月間の
来場者数は415万人と当初目標150万人の約2.8倍に及んだ。

ガンダム」だけではない。神戸市では「鉄人28号」の実物大モデルの製作プロジェクトが
進行中だ。昔の日本人は奈良の大仏や長谷の観音像を拝むべく巡礼の旅をした。今や
アニメのキャラクターがこれに変わりつつあるようだ。アニメのキャラクターは現代日本
国民的シンボルになりつつある。

だが、実際のアニメ産業を取り巻く状況は楽観視できない。

「アニメバブル崩壊」。2009年5月4日の朝日新聞は、扇動的な見出しとともに我が国の
アニメ産業は右肩下がりの時代に入ったと報じた。アニメ業界の市場規模は1985年の
261億円から2006年の2588億円へ急成長した。それが2007年には2396億円となり縮小に
転じた。記事はこれを受けたものだった。

だがアニメはもう伸びないのか。そもそも「アニメバブル」は本当にバブルだったのか。
アニメ産業の未来を考えてみたい。

日経ビジネスオンライン(クリエーティブ産業研究会)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091028/208233/
続き >>2-3


2 :あやめφ ★:2009/11/11(水) 01:27:41 ID:???
■ 本数ベースで25%の子供向けで稼ぐ

アニメ産業の売り上げはテレビの放映料金のほか、DVDや周辺グッズの売り上げから
構成される。また市場は2種類に分かれる。ひとつは「ドラえもん」「サザエさん」「アンパンマン
など子供・親子向けのテレビアニメである(以下「メジャー系」と呼ぶ)。

これらはゴールデンタイムに放映される。年間放映本数は約80本(2005年)だが、グッズなど
派生商品の収益が大きく市場全体のおよそ6割を占める(『アニメビジネスがわかる』
増田弘道著)。

もうひとつは「深夜枠アニメ」である(以下「ニッチ系」とよぶ)。ニッチ系は主にテレビの
深夜枠を使って年間300本近く放映される(日本動画協会集計2005年実績)。販売収入は
テレビ放送よりもDVDなどのパッケージ販売のウエイトが高い。全体の市場規模の4割程を
占める。ターゲットはいわゆる「アニメオタク」と呼ばれるニッチ層である。

以上をまとめると、アニメ産業では放送本数で約25%を占めるにすぎないメジャー系が
売り上げで全体の6割を占め、逆に放送本数で75%を占めるニッチ系が売り上げで4割を
占めることがわかる。ニッチ系がいわゆるロングテール市場を形成していると見られる。

■ 90年代から始まる深夜アニメの伸長

1990年代後半、テレビの深夜枠が続々と拡大。これに伴ってニッチ系は売り上げを伸ばした。
これが近年の「アニメバブル」現象である。背景には、深夜枠を売りたいテレビ局と
アニメオタクの市場を育てたいアニメ産業の利益の一致があった。

テレビ会社にとって深夜枠はもともと視聴者が少なくスポンサーもつきにくい。深夜枠は
マスメディアではなくニッチメディアなのだ。しかしテレビ局としては安価でもいいから
どこかに販売して収入を得たいと考える。

一方、アニメ業界はこれまで子供や親子向けのメジャー系でマス市場向けに成長してきた。
だが、若者、大人向け市場も手がけたいと考えた。またアニメオタクの存在にも気づいた。
そこでコミック誌・ゲーム・ライトノベルなどのニッチ向け作品のアニメ化に目をつけた。

だが昼間の時間帯のテレビ枠は高くて手が出せない。また当時の通信環境ではインターネット
による動画配信は時期尚早だった。そこで深夜枠テレビに白羽の矢が立った。

かくして両者の利害は一致し、深夜枠テレビを使ったアニメオタク向けのニッチ系市場の
開拓が始まった。アニメ産業の新たなビジネスモデルの開発である。

鉄腕アトム」のアニメがテレビで最初に放送されたのは1963年だから、日本のアニメ産業の
歴史はわずか50年ほどだ。だがその間にアニメ産業は新たなビジネスモデルを次々に
開発してきた。当初アニメは子供向けコンテンツとしてテレビの普及ともに成長した。

80年代になるとビデオが普及する。これにあわせて市場規模が75年の45億円から90年には
1069億円にまで拡大した。深夜枠アニメによるニッチ系市場の開拓はこれに続く新たな
ビジネスモデルだった。

このようなアニメ産業の歴史を見ると、ビジネスモデル刷新の背景にはいつも出口となる
媒体、つまりテレビ、ビデオ、深夜枠などの開発があり、それにあわせた視聴時間と
顧客タイプの拡張があったことがわかる。


3 :あやめφ ★:2009/11/11(水) 01:27:48 ID:???
■ 法人向け広告アニメに可能性

アニメ産業は次の拡張余地をどこに見出せるのか。より多くのヒット作品をつくる努力は
当然だ。インターネットを介したアニメ放映なども伸びるだろう。しかし市場規模の拡大、
ビジネスモデルの刷新という意味ではもっと大きなイノベーションが必要だ。

先ほど見たようにこれまでアニメ業界はいつも新しい媒体の出現に着目して、新たな顧客層を
見出してきた。今回もそこに着目してみる。すると携帯電話とパソコンいう新媒体、そして
法人という新しいターゲット層向けの新しいビジネスモデルが見えてくる。以下では法人向けの
広告・広報における可能性を提案したい。

実はアニメと法人広告・広報はもともと親和性が高い。例えば村田製作所の「ムラタセイサク君」や
JR系の「suicaペンギン」など、既にいろいろなキャラクターが活躍している。

特にお堅いイメージの会社や地味な産業財のメーカーではアニメの親しみやすいキャラクターは
役立つ。あるいはサントリーでもウェブ上で黒烏龍茶の効用をアニメで説明している。
これはインターネット上で人気を博した「秘密結社 鷹の爪」のキャラクターを起用した
アニメ広告である。

アニメによる法人広告はさらなる広がりが期待できる。例えば携帯メールで登録会員向けに
お得な情報を配信する。その時に1〜2分の短いアニメCMで商品の特性や企業イメージを
説明する。アニメのキャラクターを使った企業広告自体は昔からテレビCMで多用されてきた。
それをもっときめ細かく展開し、特に携帯を使ったターゲット向け広告を機動的に流していく。

■ スポンサーとアニメ制作者が直結

ターゲット層別の広告のアイデアは昔からあった。しかし限られたターゲット層向けに
わざわざCM映像を作っても採算はとりにくかった。これらアニメのキャラクターなら低コストで
短期間に作れる。

しかも携帯やウェブ向けにユーザーの嗜好に合わせたコンテンツが作りやすい。アニメは
写真にくらべると加工が簡易でメディアの特性に沿った幅広い制作形態(フラッシュなどの
容量の軽いものから繊細な描写が可能なものまで)が選べるからだ。

こうした広告向けアニメのビジネスは制作者にとっては新しい収益構造を設計するチャンス
でもある。従来のテレビCMでのアニメの役割は、しょせんはテレビ局、広告代理店からの
発注で作品を制作するだけの立場だった。制作者とスポンサーの距離も遠かった。

ところが今回は違う。直接、アニメ制作者がスポンサーと対話して商品のコンセプトに沿った
キャラクターを開発する。それをパソコンや携帯に自力で発信していける。商品のヒットに
あわせた成功報酬を受け取るといった仕組みも考えられる。