【舞台はここに】TVアニメ「けいおん!」京都・三条新京極(産経新聞)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110618-00000101-san-soci

古都・京都に、修学旅行の女子高生たちが訪れる“聖地”がある。三条新京極にある楽器店「JEUGIA(ジュージヤ)三条本店」(京都市中京区)。店内の至るところで女子高生たちの携帯カメラのシャッター音が聞こえてくる。
 平成21年に放映された深夜の大人気アニメ「けいおん!」(TBS系)は、廃部寸前の軽音楽部を4人の女子高校生たちがガールズバンドを組んで立て直す物語。楽器に触れたこともないヒロインの一人がエレキギターを購入、バンド活動の第一歩を踏み出すシーンに楽器店のモデルとして登場するのだ。
 正面の店構え、店内のエスカレーター、そして何よりも「10GIA」という名前から同店がモデルだとファンの間にまたたくまに広まり、放送終了の現在も全国各地から“巡礼”に訪れる人が絶えないという。12月には映画版も全国公開されるとあって、さらに過熱しそうだ。
 「女子高生バンドが物語のアニメを企画しているので、店内風景をモデルとして使いたい」
 平成21年の2月。JEUGIA三条本店に、アニメ制作会社「京都アニメーション」(京都府宇治市)から電話がかかってきた。
 JEUGIAの広報担当、遠藤雅貴さん(57)は「うちの店のPRになるならと、担当者が軽い気持ちですぐにOKしました。数日後、アニメの背景を描くための取材陣が来店し、原画を描くために店内の写真をたくさん撮るなど念入りな取材だったと記憶しています」と振り返る。
 取材から約2カ月後、アニメの放映が始まり、直後から異変が起き始めた。「エレキギターを購入する女子高生が増え、従来の主要顧客層とは全く違う客が増えたんです。それに、めったに売れない左利き用のベースギターが、アニメの主要キャストが使っている理由で売り上げが倍増したのには驚きました」と遠藤さん。
 ただ嬉しいことばかりでもない。楽器売り場担当の角谷光裕さん(35)は「喜んでもらえていると思ったら『アニメの場面と店内が違う』とがっかりして帰られることもありました。商売上、売り場のレイアウトは頻繁に変更せねばならないのですが…」。
 いまや日本で最も有名な楽器店となったが、「京都アニメーション」をはじめ制作側は、そうした実在の場所がモデルとは決して認めない。
 アニメを放映したTBSの制作担当プロデューサー、中山佳久さんも大人気の理由については「やはりスタッフ、キャスト、そしてファンの皆さんの愛情に尽きる」と力強く説明するが、実在の場所とアニメに登場する場面との関連性などについてはノーコメントをかたくなに貫く。

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