老舗声優事務所は世襲するものなのか?

題名の通り、青二プロダクションの久保社長の退任(だいぶ前ですが)によって現在大手される全ての老舗事務所の代表が変わり、また松田グループ(アーツビジョンアイムエンタープライズVIMSなど)の代表が初代の退任後の非世襲代表の移行期を経て、結局世襲になったことをうけてまとめてみる<※もう大手とはいえないですが旧声優9大老舗事務所(グループ)のバオバブも含めてみます>《※五十音順》

久保進→古市利雄
世襲だが、出戻りの野沢雅子氏の著者で青二プロダクションは設立時、初の声優マネジメント専業事務所を作るため、各役者やマネージャーらが出資して作ったとの記述があり、基本的に株式が一族に集中しているオーナー事務所ではないので、逆にこれが普通で不思議でも疑問でも何でもないのでコメント仕様がない。
久保社長の退任発表直後に、自己都合で声優休業に追い込まれていた丹下桜が復帰したのは偶然?

南沢道義
間違えました。81プロデュースだけは、今でも創業者が社長でした…。<すみません。

大沢和男→森田十三江→大澤田鶴子
創業者の死去後、非世襲の暫定体制ができるも、数年も持たず遺族が不満だったのかクーデターで初代の未亡人と思われる御仁と娘と思われる御仁が重役のバリバリの世襲体制に。
このゴタゴタで一部のベテラン(特にナレーター系)がフリーランスで離れたり、離脱して零細事務所を作ったりもしたが、中堅・若手はほぼ残ったので影響は業界外の見た目には最小限に見えた。
初代が急死したため、死後の体制について準備していなかったからか、と個人的には妄想してしまう。

内海賢二→内海賢太郎
会社の創業の出資がほぼ内海賢二野村道子夫妻なので、よほど独立の野心がない忠実で無私のない人が側近にいない限り、意外でもなんでもない(※大沢事務所の方が異例)。
ただし役者オーナーの父と同じく役者で実質的実務を行ってきた、役者夫婦事務所なので、世襲でも両親と違い非役者出身の息子が求心力を求められるのは、個人的にはキツそうなイメージ(野村さんが生きているうちは問題ないだろうが…)。

槇大輔→浦部悦太郎
申し訳ないです。シグマ・セブンだけはネットに情報がほとんどないので分かりません。分かるのは1988年に事務所が創立された時の役者とスタッフ合わせて7名でスタートしたため、この社名になったということしか分かりませんでした<恥。

名前の組合の通り、所属する俳優とマネジメントスタッフの組合員が1人1票で選挙で選出した理事会によって運営し、その中から長くない任期の理事長を互選でトップを選ぶ方式なので、この事務所は世襲関係ないです。

町田泉→神田百合恵
1990年代末に交代(非世襲)。町田氏がその後も活発に活動していて健康に問題がなかったと思われるため、この時期の社長交代は本当に謎。
社長交代前後から、所属役者の離脱が多い事務所だったが、00年代後半に後の2011年に騒動の中心人物の一人されるマネージャーの活躍もあり、一時子役出身声優中心の補強と若手の成長で復活の兆しを見せるが、2011年5月末にまず『アクセルワン』勢が離脱し事実上分裂し(揉め事は年明け前後から続いていたらしい)。その後も離脱者が相次ぎ、(特に男性声優に関しては大御所の大ベテランとジュニアクラスの新人以外ほぼいなくなるほどすっからかんに)、事実上事務所が半崩壊状態に。
こおろぎさとみ松岡由貴小林沙苗金元寿子など女性声優は、多少残ったがもはや中堅以下クラスに事務所といっても過言ではない。
ちなみに、町田泉氏はその後アーツビジョンアクセルワン、と移籍しながら現在も活動している。
(※って、世襲とは全然関係なくなりましたね)

江崎加子男→納谷光枝(小野光枝)<納谷六朗夫人>→納谷僚介
江崎氏から、所属の納谷六朗一族に経営権が移るときに、退任後の年金の額や所有の株式・土地建物の所有権で揉めているなどのいわゆる『怪文書』が飛ぶ始末だったが、その後しばらくして移籍先の代表の松田咲實が16歳の少女にわいせつ行為を行った容疑で逮捕され、代打でアイムエンタープライズの社長をすることになってからは、話題は立ち消えになった。
皮肉なことに、現在創業者の江崎氏は健在も2代目となった納谷六朗夫妻は鬼籍にはいったため、息子の納谷僚介氏が賢プロの内海賢太郎氏と同じ立場になっている。
江崎加子男は当時の町田氏と違い、当時普通の社会人から見れば高齢であったため、退任するのは不思議ではないが世襲せず、少し揉めることになったのは、江崎加子男に子どもがいなかったからではないかとの説もあるが非業界人の私には確認仕様がない。

  • 松田グループ(アーツ・アイム・VIMS日ナレなど)

アーツビジョン松田咲實→町田泉→小黒淳
アイムエンタープライズ松田咲實→江崎加子男→松田陽一
日本ナレーション演技研究所(松田咲實→木村文彦
※現VIMS代表は三岡照幸
創業者で全グループの社長<代表>を兼務していた松田咲實がオーディションで所有ビルに来ていた未成年への淫行容疑逮捕(※最終的には不起訴処分)により、全グループの社長<代表>を辞任,代打で同じ老舗事務所の創業者ながら事務所は後進に譲り、昔からの盟友の松田氏の仕事を手伝っていた町田泉がアーツ社長に、江崎加子男がアイムエンタープライズ社長にと両ベテランがピンチヒッターを務めることに(日ナレは内部昇格)。
事件のほとぼりが冷めた時に、所属の高橋美佳子の初期ラジオ番組の頃から『まつぼん』の愛称でマネージャーをつとめていた(※声優のマネージャーは基本大きな事務所は部門制、(小さな事務所は部門と特定の声優<複数が普通・1人はまずない>のマネを兼務することも)子息の松田陽一がアイムエンタプライズのみ社長に就任も、株式はほぼ100%松田親子が所有しているものとされれるため、全社の事実上の後継者でオーナーになることが事実上確定した(※ただし、アーツビジョンアイムエンタープライズは江崎加子男氏が会長として後見している)
創業者の逮捕は衝撃だったものの、賢プロ・マウスと違い最初から息子をマネージャーとして帝王学修行させていたことから、現アイム社長が向いてないなどの理由でマネージャーをすぐに辞めない限りは、事件前から世襲が確実視されていたので、創業者逮捕のハプニング以外は、個人的に特に意外性はなかったりする。



    • まとめ

俳協を除く8グループ中、単純世襲は3社。非世襲は2社。現在も創業者が代表が1社。2世代目が非世襲も3世代目が世襲が1社。不明が1社という結果に。不明のシグマ・セブンを除くと世襲経営が業界のしきたりではなく、単純に株式割合がどうなっているかが一番重要というしょうもない結論に…(それ+マウスプロモーションの例のように単純に株式を相続できる子女がいるかも多少働く)。
身もふたもない、何も面白くない当然といえば当然の結果になって、万が一読んでくれる方がいたら申し訳ないですm(_ _)m